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このところ、長引く新型コロナウィルスの影響もあり企業の希望退職に関する報道が多くなっています。実際に10月末時点で昨年の2倍増になっているとのこと。
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東京商工リサーチ、2020年上場企業「早期・希望退職」募集状況を発表~10月までに72社、募集企業は前年の2倍超に急増~
2020年10月29日までに上場企業の早期・希望退職者募集が72社に達した。2019年通年(35件)の2倍増と急増し、年間で募集企業が70社を超えたのは2010年(85社)以来、10年ぶり。
(出所:日本経済新聞2020年10月30日)
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いわゆる「リストラ」というと、経営危機や組織再編などによる「整理解雇」をイメージする人が多いのではないかと思いますが、整理解雇といえども通常の解雇同様に自由に行えるものではなく、”客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする”という労働契約法16条の解雇規制が適用されます。
そのため、整理解雇においては基本的に①人員削減の必要性、②解雇回避努力の有無、③解雇対象者の選定の合理性、④労使交渉等の手続きの妥当性、の4要素に基づいてその有効性が判断されます。
このうち、②の解雇回避努力の有無においては、12月末まで企業の休業手当を補償する雇用調整助成金の特例措置がなされていることから、有効だとするのは難しいと言われています。
雇用調整助成金の特例措置については、最近の感染拡大を受けて11月19日には「1月以降も維持する方向で調整をする」との報道もありましたが、資金繰りの問題だけでなく、このような理由からも助成金の動向は会社の対応に影響するため情報を確認しておくことが重要です。
今回の報道にある「希望退職」は、経営状況が悪化して事業の縮小が避けられない場合などに、人員削減のために優遇した条件を提示して退職希望者を募る制度です。退職を強要するものではなく、提示された条件を見て労働者の意思で退職するか働き続けるかを判断することができます。
もし希望退職に応じることとした場合には、提示された優遇条件ににそって割増の退職金を受取るなどの措置があるほか、雇用保険の失業給付においても特定受給資格者 となり7日の待期後の給付制限期間がなくなり、給付日数も自己都合より多くなります。
☆リンク→「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準 」
☆リンク→「離職されたみなさまへ(R20801版)」
希望退職は 一般的には1~2週間ほどの募集期間があり、その中で結論を出すことになります。会社側としては経営状況もあわせて適切な説明をすることが求められますし、労働者側は退職の条件をしっかり確認して、失業保険をはじめとする退職後の社会保険やライフプラン、退職後の就職先等についても情報を整理して判断することが重要です。
もちろん雇用を維持できるに越したことはありませんが、このような状況下においては希望退職を募らざるを得ない会社も増えてしまうと考えられます。そうならないためにも、感染拡大防止対策やテレワークの導入など働きつづけられる環境づくりに労使で取り組み、一つでも多くの企業がこの難局を乗り越えていけることを願っています。
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~働き方とライフプランの変化に応じた職場づくりで企業も社員も豊かに~
ウェルス労務管理事務所 佐藤麻衣子
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