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人的資本を可視化してよりよい組織づくりへ

最近、人事業界において人的資本経営に注目が集まっています。人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方のこと。(引用:経済産業省)

日本では2020年9月に「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書~人材版伊藤レポート~」が公表されたことをきっかけに人的資本に関する課題が認識され始め、2022年5月に発表された「人的資本経営の実現に向けた検討会報告書~人材版伊藤レポート2.0~」において、人的資本の重要性を認識するとともに、人的資本経営という変革を、どう実践に移していくかということが示されました。

☆リンク→人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す~

人的資本に関する国際指標としては、国際的な指標として設けられたガイドラインとして、国際標準化機構(International Standard Organization)のマネジメントシステム規格の1つであるISO30414が挙げられます。日本ではまだ人的資本の開示自体は普及しているとは言えませんが、新しい資本主義実現本部において、非財務情報可視化研究会として人的資本開示についての枠組みが検討されるなど、今後は大きく変わっていくことが予想されます。

弊所でも人的資本について知見を深めようと、今年ISO30414リードコンサルタントの認定を取得したのですが、人的資本について体系的に学んでみての率直な感想は「中小企業にはハードルが高そう…!」ということ。

とても意義のある取り組みではあるものの、人的資本のデータを適切に取得・管理するにはある程度の知識やシステムが必要であり、さらにデータをもとに指標の改善に取り組むとしたら、ダイバーシティの推進などの意識改革や、本業以外に時間を割くゆとりも必要そうです。

大企業では開示義務化等も見据えて取り組みを進める会社もあると思いますが、社労士として主に関与する中小企業においては、現状どうしてもコロナ対策や法改正対応が優先されますし、人手不足という問題もあります。今すぐに人的資本開示に取り組むというよりは、今後を見据えた取り組みとして、どのような目的で人的資本経営が推進されようとしているのか、どのような指標があるのかを知り、まずは可能な範囲で、自社の人的資本の状況を整理してみることをおすすめしたいです。

<指標等に関する資料>
☆リンク→ISO 30414とは?(株式会社HCプロデュース)
☆リンク→非財務情報可視化研究会(第6回)配布資料


私自身、社労士になって職場づくりに取り組む中で「人という資産が財務諸表のように可視化されたら、会社の本当の価値がわかるし、改善への取り組みも進むだろうな…」と感じることが多々ありました。
どんなに経営状態がよい会社でも、若い職員が全く採用できなかったり、休職者が多かったり、離職率が高かったりしたら今後の経営にも影響することが想像できますが、そういった情報は把握しにくいものです。逆に、多様な社員が活躍していて、研修も充実していて学び直しが推進され、エンゲージメントも高いといった良い職場においては、客観的な指標で人的資本の価値を伝えることができれば、中小企業もM&Aや採用面などで正当に評価されやすくなりそうですよね。

まだ取り組みは始まったばかりですが、人的資本の開示をきっかけに多くの企業で人への投資や職場改善が進むよう、今後の動きにも注目しながらできる範囲で指標の整理などを支援していければと思います。

☆リンク→ISO30414リードコンサルタント/アセッサー認定を取得しました

最後までお読みいただきありがとうございました!
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