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「砂上の安心網」で社会保障を考える

去年の12月19日のこと。

日本経済新聞の1面に

『チェックなき膨張』
『2030年、支え合いは限界に』

という見出しとともに、

「砂上の安心網」という社会保障制度についての特集記事の掲載が始まりました。

今でもこの特集記事を見つけるたびに見入ってしまいます。

日本の年金・医療・福祉などの社会保障制度は、
少子高齢化のスピードに対して見直しが追いついていません。

記事を読むと「こんなにまずい状況なんだ・・・」と毎回おどろくのですが、
普段の生活で社会保障について話題に上ることはあまりありません。

なぜでしょう?

それはきっと、自分が見てきた身近な大人、

つまりおじいちゃん・おばあちゃんや、お父さん・お母さんを
標準の大人像として潜在意識で認識してるからなんじゃないかと思うんです。

「親もなんとかなっているし、何とかはなるでしょう」

という感じです。

しかし、「砂上の安心網」を見るごとに、
全然違う世界が私たちには待っていることを知ります。

すでに、お給料から引かれている社会保険料は、お父さんたちの若いころより重い負担になっています。

真面目に働いていても、その仕事がずっとあるとは限らない時代を生きてます。

非正規雇用も増えていて、共働きじゃないと、経済的に結婚も出産も難しい。

医療制度も年金も、今よりあてにならなくなるかも・・・

こういう面を見ると、「不公平だなぁ!」と感じますね。

ですが、気づけば私たちは夢のような時代を生きているともいえます。

インターネットの普及で、PCやスマホからいつでもほしい情報を得られますし、
買い物も、旅行の予約も、仲間をみつけることも、
昔に比べたら、はるかに手軽に、少ない時間でできるようになっています。

うちの母は「昔は今みたいにお菓子も多くないから、砂糖をなめたりもした」と
話していましたが、

今は迷ってしまうくらいの種類のお菓子がコンビニで手軽に買えます。

ほかにも交通網やSNS、ファストファッションなど進化したサービスに囲まれて生きています。

そう考えると不公平ではない気がしてきますね。
むしろ、ありがたいくらいかもしれません。

「時間」や「手間」をかけずに生きることができて、
インターネットで個人でも社会とつながることができるインフラもあるのであれば、
これからの時代、自助努力へのシフトに向き合った方が豊かな人生になるのではないでしょうか。

また、国の財源は厳しい状況ですので、
できるだけ財源を使わずに問題を解決する必要もあります。

この財源不足を吸収できる可能性のあるリソースは何かと考えると、

「長く働く力」と「健康」ではないでしょうか。

人が持つ潜在的な可能性を引き出すことができれば、
それはすごい価値なのではないかという考え方です。

長く働いて食べていける収入を得ることができれば年金は必要ありません。

健康でいれば医療費もかかりません。

今はそのための情報手に入りやすく、
実行するための環境も整ってきています。

それでもどうしても困っている人にのために社会保障があるという、
そういう意識に変えていければ、少しでも解決に近づくのではないでしょうか。

社会保険労務士は、あまり知られていない仕事ではありますが、

長く働けるように職場を見直したり、
健康経営®を推進したり、
自分のための年金づくりをサポートしたりと

社会保障の問題にダイレクトに関わることができるのですごくやりがいを感じます。

理想論だと言われることもありますが、
世代間で争うことなく、解決に向けた取組ができるといいなと思います。

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