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非正規との待遇差へ企業はどう対応する?

10月13日と15日に、
非正規雇用の待遇格差が争われた
訴訟の判決が出て話題となりました。

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・アルバイトへの賞与支給が争われた
「大阪医科薬科大事件」
☆判決文リンク→令和元年(受)第1055号,第1056号 地位確認等請求事件

・契約社員への退職金支給が争われた
「メトロコマース事件」
☆判決文リンク→令和元年(受)第1190号,第1191号 損害賠償等請求事件

・契約社員への手当支給・休暇について争われた
「日本郵便事件」
☆判決文リンク→平成30年(受)第1519号 未払時間外手当金等請求控訴,同附帯控訴事件
令和元年(受)第777号,第778号 地位確認等請求事件
令和元年(受)第794号,第795号 地位確認等請求事件

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それぞれ結論としては、
賞与と退職金に関しては支給しないことは
不合理ではないとの判決となり、

手当支給と休暇に関しては、
支給をすべきとの判決となりました。

しかしながらこの判決は
それぞれ個別の職場における
事情を見て判断したものであって、

一律に非正規だから賞与や退職金を
支給しなくてよいというものではありません。

この判決も参考にしながら
いわゆる同一労働同一賃金の考え方に基づき、
不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル
に準じて自社の対応を確認することが求められます。

☆参考リンク→同一労働同一賃金特集ページ

同一労働同一賃金の法改正は、
大企業では2020年4月に施行されていますが、
中小企業への適用は2021年4月から。

まずは処遇の確認を進め不合理な差があれば解消し、
不合理でないなら明確に説明できる体制づくりを
していくことが重要です。


また、今回の裁判からもうひとつ感じたのは、
現役時代から社員の生活設計を
支援することの重要性です。

非正規雇用の待遇差によるトラブルは
雇用が長期化したり
年齢が高くなっていくにつれて
労務問題に発展しやすいと考えられます。

年齢を重ねると働き続けられるか不安を感じますし、
老後目前になって初めて
年金だけでは生活できないと知ることになれば
もはや死活問題ですから、

処遇や雇用継続への不服を申し立てる人も増えそうですよね。

そうならないためにも、
労働条件を会社が整備することと並行して

働く人自身が早期からライフプランや
キャリアプランに向き合う仕組みが必要です。

会社が給与や賞与を増やしても
働く人が長期的な家計管理をできずにいたら
社員の生活不安を解消することは難しく、

結果として非正規や高齢期の労務トラブルを引き起こすことになりかねません。

そうならないために、

社員に労働条件や処遇について説明するとともに
退職までの生活設計やキャリア形成について
現役時代から考えてもらうよう支援することが大切です。


今回の判例から処遇の見直しが進み、
労務トラブル予防の対応策の一つとして、
ライフプラン研修や確定拠出年金による資産形成といった福利厚生施策が
より身近なものになってくれたらと思います。


弊所でもご相談承りますので
お気軽にお問い合わせください。

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ウェルス労務管理事務所 佐藤麻衣子

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